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第7話 

 その時、私は枯れた声で言った。

 「離婚しよう......」

 「うん」

 赤ちゃんのために泣かないようにと、必死に自分に言い聞かせ、彼の前では涙を堪えた。

 しかし、彼が勢いよくドアを閉めて出て行った後、私は結局堪えきれずに悲しみで大泣きした。

 泣き疲れた私を、山田瑞臣が車で私を父の家に連れて行ってくれた。

 その後、私は渡辺直熙と離婚し、それ以来一度も彼に会うことはなかった。

 そう、彼は一度も私を探しに来なかった。

 だから彼は杏奈の存在を知らない。

 山田瑞臣の話を聞きながら、私も一緒に過去を思い出していた。

 もう五年も経ったのに、思い出すたびに、まだこんなにも心が痛む。

 渡辺直熙も、話を聞いた後に痛みを感じていたのだろうか。そうでなければ、どうしてあんなに苦しそうな顔をしていたのだろう。

 山田瑞臣は皮肉を込めて言った。「あの時、僕と優花が罠に嵌められて不倫していると誤解された後、どうして私が真相を説明しなかったのか分かるか?それは、お前が優花の愛に値しないと思ったからだ。その時、メディアはお前が田中清音と愛し合っていると報じ続けていたが、お前は優花がどんな気持ちか考えたか?」

 「渡辺直熙、知っているか?優花は君と離婚した後、よく泣いていた。私と優花の父親は、彼女が泣いているのを何度も見た。その時、犬の白玉が彼女の涙を舐めて慰めていたんだ。あの頃、彼女はまだ妊娠していた」

 犬の白玉はあの爆発で私と一緒に亡くなった。

 「君には心がない、渡辺直熙」

 「もし来世があるなら、優花がお前と出会うことも、お前と結婚することもないように願う」

 奇遇だね、私も同じことを思っているよ。

 渡辺直熙、来世ではあなたと結婚したくない。

 私は渡辺直熙をじっと見つめた。

 願った通り、彼の顔に悲しみと罪悪感がにじんでいた。

 しかし次の瞬間、田中清音から電話がかかってきた。

 「熙年、私の父の容体が悪化しているの。ずっとあなたの名前を呼んでいるわ。来てくれる?」

 電話を切ると、渡辺直熙は慌ててその場を去った。

 まるでさっきまでの出来事が、他人の物語だったかのように。彼はただの見物人として、

ほんの少しだけ悲しんでいるふりをしたに過ぎない。

 私はうつむき、悲しみが全身に広がっていくのを感じた。

 何を悲しん
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